村瀬(仮名)つづき
恐る恐るマッサージ台に横たわる。すると「
どっか悪いところある」とぶっきらぼうに…。
「え!ため口!?」
と思いながら、
「いや〜腰がばりばりで…、ギックリ腰手前って感じで…」
とぼそぼそつぶやくと、
「うわ!堅いねー。運動やってんの?」
「いや、あの、最近は特には…」
「ダメだよ!運動しなきゃ!だからこんなになるんだ!」
「え!説教!?」
なんて答えていいのか、軽いパニックに陥る。
(ここの指圧師たちのヒエラルキーの中で、多分村瀬が一番下。その村瀬に説教されてる俺は、今、この店内で一番下の人間なのか!!)
(いや、別に村瀬の方が年上なんだから、年上を敬う気持ち的には下でもいいんだが、そもそも店側とお客という立場は一体どうなるんだ…。俺は客とも思われていないのか…!)
そんな事を3秒くらいの間にぐるぐる考えて、出てきた言葉が
「あ、はぁ…」
(ここでへりくだったら負けだ。店内最下層の地位決定になってしまう。それだけは避けなければ…。とはいえ、相手は俺のボディーに直接攻撃を仕掛けられる立場。へそを曲げられたらどんな不快な目に遭わされるか…)
その間、村瀬は必要に会話を要求し続ける…
「針言ってんの!」
「はぁ?」
「針だよ!」
「いや…。特には…」
「針がいいんだ!針ならすぐ治る」
「いや、でも痛そうだし…」
「ふん!みんなそう言うけどね!」
迫り来るため口、説教口撃に反応するため、高速回転する俺脳!マッサージが効いてるかどうかもわかりゃしない。
しかし、強気に出ず丹念に受け答えをしていると、少しづつ村瀬の口調が優しくなり始める。
「寝る前に体ひねりな!寝る前なら忘れないだろ。それだけでも効くから」
「あ、そうですか。わかりました」
「仕事、大変なんだろ。定期的にマッサージしろよ」
「はぁ」
「腰はどうだい?」
「あ、ああ!楽になりました。うん。良くなりましたよ」
「そりゃ良かった」
結局なんだか弟分のような扱いに落ち着いた…ようだった…。
「つらくなったら、また来いよ!」
「あ、お願いします」
といって、店を後にしたが、多分もう行くことはないだろう…。



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